「IoT」オープンプラットフォーム
「FIELD system」の創造
~製造現場のデファクトスタンダードへ~

PROFILE

  • 浪川 和人デジタルソリューション
    第一本部
    ビジネスデザイン第三部
    担当課長
    1998年入社
  • 谷内 恭花デジタルソリューション
    第一本部
    ビジネスデザイン第三部
    2014年入社
  • 青木 魁志デジタルソリューション
    第一本部
    ビジネスデザイン第三部
    2016年入社

※ プロジェクトメンバーの所属等は取材当時のものです。

製造現場が抱える課題解決に向けた
IoTプラットフォームFIELD system
つながることで生まれる全体最適化。

製造現場は、古くから合理化や効率化によるコストダウン、生産性向上を最重要課題の一つとしてきた。近年、そのエンジンとなったのが、急速に進展した様々な技術革新だった。だが、ここへきてそれら取り組みが限界に来ていることが各方面で指摘されている。たとえばスタンドアローンで動く機械の性能向上も成熟化しているといわれる。また、生産現場にとって最も重要なことは「工場を止めない」ことであり、そのためには工場内の工作機械などが安定的に稼働していることが求められている。こうした製造現場が抱える課題にソリューションを提供するものとして注目を集めているのが、「IoT(Internet of Things)=モノのインターネット」だ。現在、コンピュータ同士のみならず、携帯端末やデジタル家電、自動車など、インターネットはあらゆるモノがコミュニケーションをするための情報伝送路になりつつあるが、このように、従来、つながっていなかったモノがつながることを実現するのが「IoT」と呼ばれている技術だ。この「IoT」を製造現場へ適用することが始まっている。すなわち、製造現場の工作機械やロボットをネットワークでつなげることでデータを収集・解析し、システムや工場全体の最適化を実現するという取り組みである。その具現化に取り組んだのが、世界でもトップクラスのCNCと産業用ロボットメーカーのファナック。製造業向け「IoTオープンプラットフォーム」として「FIELD system」の運用を開始した。工場内にメインのシステムを配置し、各種機械をネットワークでつなぐことで、従来の部分最適から全体最適を実現する試みである。

オープンプラットフォーム上で、
アプリケーションを提供する
マーケットプライスの構築。

「製造現場のネットワーク化は遅れていた」――そう指摘するのは担当課長の浪川和人だ。浪川は今回の「FIELD system」開発におけるNTTコム ソリューションズサイドの総責任者であり、プロジェクトの最上流で全体を指揮する立場にある。
「工場内には多くのメーカーの機械が配置され、それらでラインを組み上げて生産活動が行われています。しかしそれぞれの機械が有する情報は標準化されていませんでした。共通のプロトコルでネットワーク通信は可能なものの、それぞれの機械独自のフォーマットがあり、集まったデータを活用することはできなかったのです。そこで標準化されたデータモデルが開発されました。このデータモデルを経由することで、各機械の情報の収集・分析等を可能としたのが、「FIELD system」です。製造現場の様々な機器を、世代やメーカーの壁を越えて接続可能としたことで、製造設備やデータの一元管理・共有が実現します。このデータモデルの仕組み自体はファナック様が開発しましたが、私たちNTTコム ソリューションズの取り組みは、このデータモデルの仕組みを内蔵したFIELD system BOX、“IoTオープンプラットフォーム”の実現に深く関わるものです」(浪川)

ここで、「IoT」のためのプラットフォームである「FIELD system」の特徴を確認しておきたい。「FIELD system」はクラウドとの連携を前提にしているものの、エッジ・ヘビィー(現場重視)思想に基づき、高速性やリアルタイム性が要求される領域は現場に近いレイヤーで処理するものだ。また、現場から取得したデータの解析にAI(人工知能)を利用することが可能であり、さらに、現場に必要なアプリケーションソフト(以下、アプリ)をダウンロードして組み合わせて利用することができる。改めて留意したいのは、“製造業向けオープンプラットフォーム”である点だ。したがってサードパーティの開発者も自由にアプリやデバイス用コンバータの開発、販売が可能となる。身近なわかりやすい例でたとえれば、スマートフォンでアプリをダウンロードするマーケットプレイスと同様の仕組みである。「FIELD system」はプラットフォームであり、開発者は登録してアプリを提供、ユーザーはそこから必要なアプリをダウンロード(購入)して利用するという仕組みだ。この製造業者向けアプリのマーケットプレイス(アプリストア)開発が、NTTコム ソリューションズの役割である。

アプリを販売する仕組みの開発。
最適なカタチを生み出すために、
自ら発信して行動する。

「FIELD system」において、アプリは極めて重要な意味を持つ。ユーザーは「FIELD system上で動くアプリをダウンロードし、自社の製造現場に応じてアプリを組み合わせてデータを活用することで、たとえば稼働率の向上などを実現できる。「FIELD system」は、こうしたサービスを提供するための、いわばインフラであり、普及のためにはどのようなアプリを開発し運用するかがカギを握っている。すでにアプリの提供は開始されており、製造機器のデータの統合的な見える化・分析を行うアプリ、製造機器の予防保全機能を実現するアプリ、高速機械の加工時間を高精度に予測するアプリなどがネットワーク経由で購入可能だ。このマーケットプレイス構築に関わっているスタッフの一人が谷内恭花である。谷内は入社以来、サーバ・ネットワークの保守運用を担当していたが、元々開発の仕事を志望していたこともあって、今回「ストア開発チーム」のリーダーにアサインされた。

「サードパーティやパートナーが開発したアプリをどのようにして販売するか、その仕組み構築を担当しています。たとえばエンドユーザがアプリを購入する際の画面や陳列などの見せ方、カテゴライズの方法など、ネットワーク上で、アプリをスムーズに購入するための最適な販売の仕組み構築を進めています。具体的には、お客さまのニーズを的確に把握した上で検討を重ね、協力会社に開発を指示、テストを経てリリースしていくのが業務の流れですが、お客さまの要望が変わることもあり、それに応じて自分で判断して協力会社を適切に動かすことを求められる場面も少なくありません。かつての保守運用業務はいわれたことを正確にこなす作業でしたが、今は自ら発信し行動しなければプロジェクトは前進しません。自分で考えて動くこと。その重要性を自覚している中に成長の実感もあります」(谷内)
ちなみにFIELD systemは2017年10月に正式版をリリース。以後、半年毎にバージョンアップすることが計画されており、現在も継続中のプロジェクトだ。

若手社員が実感した、
自分主体で仕事を進める
責任とやりがいの手応え。

入社2年目の青木魁志もプロジェクトに関わっているスタッフの一人だ、入社以来、主にネットワークの更改案件などを担当してきた。プロジェクトにアサインされたのは2017年7月。アプリストアの正式版リリースを直前に控えた時期だった。

「IoTに関する知見は持っていませんでしたが、製造現場を大きく変えるという取り組みに強く惹かれて業務に就きました。当時担当したのは、エンドユーザが購入したアプリをインストールする仕組みの、配信側のテスト工程。現場に慣れる研修的な意味合いが強かったと思います。現在担当しているのが“拡張アプリ”と呼ばれているもので、アプリ自体を開発しやすく、また使いやすくするための取り組みです。各機械はそれぞれ機能が異なりますが、共通化しているニーズがあります。たとえば機械同士がどのように結びついているか適切に管理するなど、一定の共通した情報を統合できればアプリ活用が促進します。いわば、アプリのオプション機能を作ることがミッション。かつてのネットワーク更改業務とは大きく仕事内容が変わりました」(青木)
その作業は、お客さまのレビューを受けつつ、傍らでは実際に協力会社によって開発作業が進行するなど、お客さまサイドの担当者との密なリレーションで進められている。「人に指示を出し、人を巻き込んでモノを生み出していく醍醐味」を実感する現場だ。「自分主体」で仕事を進めることの責任感とやりがい。その手応えが、青木の成長を着実に促している。

第四次産業革命が始まった。
製造現場に革新をもたらす、
「つながる工場」の実現。

「IoT」による製造現場革新の試みは、ドイツや米国においても先行する取り組みが進められている。インターネットを介した情報の収集とその分析による、個別大量生産に対抗しうる柔軟な自動化工場や機器の遠隔操作、故障予知サービスの実現などを目指している。こうした「IoT」による「つながる工場」の実現は、18世紀の蒸気機関による機械化、20世紀初頭の電力による大量生産、1970年代以降のコンピュータによる自動化、それらに匹敵する規模の影響を及ぼすとされており、ドイツでは第四次産業革命と位置付けられているものだ。日本においては「FIELD system」がその口火を切ったが、この「FIELD system」に共鳴しパートナーとして参画を表明している企業は約400社。

「一層の全国的な拡大浸透のためには、キラーコンテンツとなるようなアプリ開発とその拡販が重要なテーマです。それが、「FIELD system」の進化には欠かせない要素。そして、IoTによる製造現場の革命に対応した工場のビジョンとして掲げられているのがスマート工場です。つながる工場であることはもちろん、徹底した自動化の推進、ビッグデータやAIの活用などによって、飛躍的な生産性向上や品質向上を実現する工場であり、「FIELD system」はその実現に向けた第一歩と位置付けられます。今後、「FIELD system」が広く拡大浸透することで、製造現場のデファクトスタンダードになることに寄与していきたいと考えています。さらにその先にある、一層のスマート化を実現する仮想化工場といったビジョンも視野に入れ、プロジェクトを進めていきたいと思っています」(前出・浪川)