時代の要請に応える「AI」への挑戦
~ソリューションを提供する使命~

PROFILE

  • 上岡 賢太郎上岡 賢太郎デジタルソリューション
    第一本部
    ビジネスデザイン第三部
    担当課長
    1997年入社
  • 大塚 雅代大塚 雅代デジタルソリューション
    第一本部
    ビジネスデザイン第三部
    2011年入社
  • 松田 康松田 康デジタルソリューション
    第一本部
    ビジネスデザイン第三部
    2013年入社
  • 村崎 沙羅村崎 沙羅デジタルソリューション
    第一本部
    ビジネスデザイン第三部
    2017年入社

※ プロジェクトメンバーの所属等は取材当時のものです。

お客さまの課題に向き合い、
ソリューションを提供する。
そのツールがAIだった。

最先端のネットワーク構築をはじめ、時代や社会の要請に多彩なICTで応えてきたNTTコム ソリューションズは、今、新たな技術領域である「AI(人工知能)」への取り組みを開始している。現在、各方面で注目を集めているAIは、人間の知的ふるまいの一部を、ICTを用いて人工的に再現するもので、経験から学び新たな入力に順応することで、人間が行うように柔軟なタスクを実行するものだ。最近耳にするAIの事例の多くは、音声認識や画像特定などのタスクをコンピュータに学習させる手法と自然言語処理に大きく依存しており、これらのテクノロジーを応用すると、ビジネスや生活の様々なタスクを人間に代わってこなすことができるとされている。特にビジネスの現場に革新的な変化をもたらす可能性を秘めている最先端テクノロジーだ。このAIへの取り組みをNTTコム ソリューションズが開始したのは、およそ1年半前。だが、「はじめにAIありき」であったわけではない。担当課長の上岡賢太郎が強調するのもその点だ。

「私たちは、あくまでお客さまの抱える課題に向き合い、ICTによってソリューションを提供することをミッションとしています。AIはそのためのツールであり、切り口と考えています。お客さまの課題解決のためにAIが有効と判断し、その検討・適用を開始しました。その本格的な取り組みの一つが、大手証券会社であるSMBC日興証券様に向けたCommunication Engine“COTOHA®の導入でした」(上岡)

自然な日本語を理解して
自動応答する「COTOHA」の、
コンタクトセンターへの導入。

Communication Engine“COTOHA®”――これは、自然な日本語を高い精度で理解し、必要な情報を自ら聞き出すといった“人間らしい対話”を実現するAIエンジンだ。NTT研究所が40年以上にわたり蓄積・精錬した30万語におよぶ日本語データベースや高精度の処理技術を活用したもので、コンタクトセンターにおけるお客さまからの問い合わせ対応や、企業内のヘルプデスク業務、将来的には電話やSNSを介した販売活動も担うことなどもできる、強力なコミュニケーションエンジンである。「COTOHA」の導入により、企業はコンタクトセンターなどにおける一次対応の自動化、それに伴う応答率上昇とエンドユーザーの満足度向上、そして導入企業の劇的な生産性向上が実現する。

お客さまであるSMBC日興証券様は、商品・サービス品質の強化と拡充を進めているが、その一環として力を入れているのがコンタクトセンターの対応力である。同社のコンタクトセンターはサポートサービス業界の国際機関から最高評価を獲得するなど、国内屈指のカスタマーサポート品質を誇っているが、その品質の維持・向上のために着目したのがAIチャットボット(チャットとロボットから成る造語)。同社のコンタクトセンターは、多様化するニーズに対応するため、電話はもちろん、メール、Webチャット、LINEといった複数のチャネルを用意しているが、オペレーターによる対応に加えてAIによる自動応答を導入することを検討し、そのエンジンとして採用したのが「COTOHA」だった。「COTOHA」は自然言語によるスムーズな会話、会話内容に応じて「COTOHA」側からも問いかけをしながら、的確な回答を行うことが可能だ。さらに「COTOHA」が回答できなかった場合、オペレーターにエスカレーション(引き継ぎ)する機能も備えている。この「COTOHA」導入とその最適稼働の実現が、NTTコム ソリューションズのミッションとなったのである。

対応ノウハウを移植し、
AIチャットボットを成長させる。
システム連携などサービス拡大へ。

「COTOHA」導入プロジェクトのメイン担当にアサインされたのが、大塚雅代だった。大塚は以前、AIチャットボット開発に関わった経験があり、加えて本人の好奇心や新しいことへチャレンジする意欲を買われてのアサインだった。取り組みはPOC(Proof Of Concept)と呼ばれる実証・効果測定から始まった。すなわち、人が行っていた業務を「COTOHA」でどの程度代替できるかを検証する作業だ。
「COTOHAは自然な日本語を理解して自動回答する、高度な機能を備えていますが、汎用的なAIであり、法人のビジネス特性にフィットさせる必要がありました。さらに、人が話すことと機械が話すことには、否応なく乖離が生まれます。たとえば、人は会話を通じて様々なことを連想しますが、機械は連想することはできません。トライ&エラーを繰り返し、チャットボット向けに会話を作り上げていく作業を進めました」(大塚)
具体的には、「COTOHA」にコンタクトセンターにおける問い合わせのパターンやルールを学習させていく取り組みだった。そのために、実際にオペレーターの協力を仰ぎ、キーワードを打ち込んでもらうなど、実際の対応現場の会話、ワードの集積・分析とそれに対する対応能力の向上を図っていった。蓄積したノウハウを「COTOHA」に移植する作業といえる。

「AIチャットボット自体を成長させる取り組みでした。ただ、このプロジェクトは終わったわけではありません。POC開始から5ヶ月後に「COTOHA」は本格導入されサービスを開始、現在COTOHAがコンタクトセンターのフロントに立って対応していますが、証券会社のサービスは多様であり、新たな商品・サービスも登場してきます。他のシステムと連動したAIチャットボットの活用も視野に入っています。その成長・進化のエンジン役という意識でプロジェクトを進めています」(前出・大塚)

企業向けSNS「Workplace」
ユーザー拡大を目指し、
AIチャットボットを搭載。

AIチャットボットにおいては、新たな取り組みも進められている。それが、某企業向け「Workplace」の導入に伴うAIチャットボットの開発である。「Workplace」は、Facebookが企業向けSNSとしてリリースしたサービスで、ビジネス現場の業務進行をサポートするツール。Facebookとほぼ同様の仕様・機能が搭載されているが、Facebookとの違いも大きい。たとえば、Facebookにおける「友だち」の概念がなく、社内メンバー全員と即座に交流できる環境だ。また社内外メンバーとグループを作成し、案件ごとに情報共有が可能、各種社内システムとの連携による業務効率化も実現できる。ビジネスに極めて有効なツールとされる「Workplace」だが、お客さまが課題としていたのは、社内の「Workplace」ユーザーを拡大したいということだった。それによって社内コミュニケーション活性化や業務効率化を図ることが狙いである。そのニーズをキャッチしたのが、松田康だった。松田は「Workplace」のユーザーを増やすためには、魅力的な機能が必要」と確信、「Workplace」にAIチャットボットを搭載することを提案し、開発がスタートした。ちなみに「Workplace」には、Facebookで言うメッセンジャー機能と似た「Workchat」があるが、自動応答するAIチャットボットとは根本的に異なるものだ。

「人が行って手間のかかる行為、作業をチャットボットが代行するというものです。たとえば帰宅の際のバスの時刻。『Workplace』のチャットボットにアクセスすれば答えてくれる。あるいは、仕事で何かしらの知見を必要となった場合、社内スタッフのスキルをチャットボットで検索することで、スムーズにスピーディに社員同士がつながることも実現します。会議招集などでも効力を発揮します。参加者や会議室の空き状態などの情報を、チャットボットをインタフェースとしてやり取りできます。業務進行においては様々な課題、要望があります。それら課題解決をチャットボットにつないでいくことでソリューションを提供していくのが、私たちのミッションです」(松田)

若手に託された
AIチャットロボットの開発。
未踏の領域に果敢にチャレンジ。

AIチャットボットの開発は、海外のIT企業と協働で展開されており、その進捗も含めたマネジメントを任されているのが、新入社員の村崎沙羅だ。
「お客さまのニーズを分かりやすくかみくだいて海外の協力会社に伝えるとともに、開発現場の課題をヒアリングして解決に導くなど、開発をスムーズに進行させていく役割を担っています。知識不足を痛感しつつ模索しながら業務に取り組む日々ですが、特に難しさを感じているのは海外の協力会社と認識を一致させること。ビジネス慣習や文化の違いを把握した上で、理解・納得を求め、確認していく作業が重要です。認識の一致が開発を円滑に進める核心にあると感じています」(村崎)
新入社員である村崎を、開発のいわば要となるポジションにアサインしたところにも、「若手に仕事を任せて成長を促す」という、NTTコム ソリューションズの社風が現れている。

AIチャットボットの導入は、「Workplace」のユーザーを増やすことを企図したものだが、当初に比べユーザーはおよそ10倍に拡大、劇的な効果を生んでいる。それは同時に業務効率化を含めた生産性向上に結びついており、今後顕在的かつ潜在的課題に対応することで、社内システムとの連携も含めてより高機能化していく考えだ。
AIチャットボットの新たな展開も始まっている。AIチャットボットは、AIによる自動応答に主眼を置いたものだが、それをRPA(Robotic Process Automation)と連動する取り組みだ。RPAはロボットによる業務自動化を実現するもので、AI等のテクノロジーを用いて、ルーティン的作業の代行を担う。チャットボットとRPAの連動は、生産性向上、業務効率化に大きく寄与するものとしてここへきて大きな注目を集めているが、NTTコミュニケーションズグループはすでにサービス提供を開始しており、一層の拡充を目指していく考えだ。
「AI、あるいはIoTにしても、各方面で話題となっていますが、まだ黎明期でありビジネスの現場への導入は始まったばかりです。もちろん当社においても、緒に就いたばかりの取り組みであり、手探りの状態で進めています。しかしまだ答えがない未熟なフィールドであるからこそ、面白さもやりがいあります。そのダイナミズムを感じながら、メンバーとともに果敢に挑戦していきたいと考えています」(前出・上岡)

※ COTOHAは、NTTメディアインテリジェンス研究所の高度な日本語処理技術を含むNTTグループのAI関連技術「corevo®」を搭載しています

COTOHAの利用イメージ