次代を見据えたクラウド化への挑戦
~ネットワークの進化に終わりはない~

PROFILE

  • 加藤 憲一デジタルソリューション
    第二本部
    担当課長
    1985年入社
  • 安西 章嘉デジタルソリューション
    第二本部
    2008年入社
  • 大谷 梓デジタルソリューション
    第二本部
    2012年入社
  • 石井 茜デジタルソリューション
    第二本部
    2011年入社
  • 寺脇 綾菜デジタルソリューション
    第二本部
    2014年入社

NTTコミュニケーションズとの連携で、
先進の「クラウドサービス」を提供する、
チャレンジングな試みが始動。

NTTコム ソリューションズは、日本最大規模のネットワーク構築を展開するNTTコミュニケーションズの技術部隊というポジションにある。したがって、NTTコム ソリューションズとNTTコミュニケーションズは、協働・連携する中で、日本のネットワークを作り、守り、支えてきた。そのNTTコミュニケーションズから、あるネットワーク案件に関する打診があったのは2016年初頭のことだった。お客さまは大手不動産会社。担当課長の加藤憲一が、最初にその話を聞いたとき、“チャレンジング”という言葉が頭をよぎった。というのも、そのプロジェクトではネットワークの“クラウド化”が求められていたからだ。

「もちろん、これまでも当社はネットワークのクラウド化を手がけてきた実績があります。ただ、今回の案件は単なるクラウド化ではない、複雑な要素が多くありました。また当社のクラウドサービスの中でも、まだほとんど導入実績のない先進的なサービスが要求されているという点においても、非常にチャレンジングな試みだったのです」。
加藤はNTTコミュニケーションズからの打診を受けて、プロジェクトチームを結成。現場を指揮する責任者である、プロジェクトマネージャー(以下、PM)にアサインしたのは入社10年目(当時、以下同)の安西章嘉だった。こうして、2016年春、プロジェクトは始動した。

業務効率化、コストダウンなど
経営課題の解決に寄与する
クラウドサービスの実現に向けて。

ここで、今回NTTコム ソリューションズが手がけた“クラウドサービス”について、改めて確認しておきたい。クラウドサービスとは、従来はユーザーが手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアを、ネットワークを介して利用者に提供するサービスである。これまでユーザーは、コンピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自身で保有・管理し利用していた。クラウドサービスを利用することで、機材の購入やシステムの構築、運用管理などに必要とされた様々な手間や時間の削減をはじめ、業務の効率化やコストダウンを図れるというメリットがある。それらを背景に、近年、クラウドサービスを採用する企業が急速に拡大している。技術的に言えば、クラウドサービスでは、主に仮想化技術が使われている。たとえば実際に存在する1台のサーバ上で、ソフトウェアの動きにより何台もの仮想のサーバがあるかのような働きをさせることができるのだ。
今回のプロジェクトは、お客さまのデータネットワークをクラウド環境に移行するというものであり、この実現によって、コストダウンや事業スピードの加速化など、お客さまの経営課題解決に大きく寄与するものだ。だが、加藤からPMを託された安西には当初戸惑いがあった。
「これまで中小規模のPMの経験はあるものの、これほどの大規模プロジェクトは初めて、しかもクラウドサービスに取り組むのも初めてで、不安もありました。しかし自分がステップアップするためにも良い機会と思い、ポジティブに向き合ってプロジェクトに着手しました」。
プロジェクトはデータネットワークをクラウド環境に移行するのと同時に、インターネットに接続する環境を整え、さらにお客さまの通信キャリアをNTTに転換することまでが含まれていた。PMである安西は、プロジェクトの全責任を担う立場にあるが、最も重要なのは、プロジェクト初動の際の体制構築であり、進捗の最適マネジメント、そしてお客さまとの対応だ。スタートしたプロジェクトは、その当初から困難な壁に突き当たることになる。

独自のサービス「ECL2.0」と「MCC」。
未踏の領域を切り拓き、
高いハードルを乗り越えていく意志。

安西は肝心のクラウド環境構築のリーダに、かねてから信頼を寄せていた入社5年目の大谷梓をアサイン。大谷は入社以来一貫してネットワーク構築を手がけてきたエンジニアだ。しかし、安西同様にクラウドの経験はない。さらに問題だったのはスケジュールである。2016年3月に具体的に着手されたプロジェクトは同年12月のリリースを目指して、5月までにクラウド環境を整備する必要があった。その後のインターネット接続や通信キャリアの転換を考慮すると、5月がデッドラインだった。大谷は当時の心境を「不安と緊張感」という言葉で表した。
「果たして自分にできるのか、間に合うのかという気持ちが強かったですね。当社のクラウドサービス『ECL』」には、二つのバージョンがあります。『ECL1.0』と『ECL2.0』。今回は後者を採用することが決まっていました。さらにMicrosoft社を含む他社のクラウドサービスにも接続可能とする必要があったのです」。
大谷の言うところを端的に説明しよう。『ECL』はEnterprise Cloudのイニシャルを取ったNTTコミュニケーションズが提供するクラウドサービスで、『ECL2.0』は『ECL1.0』をバージョンアップさせたもの。外部連携が容易など、柔軟性を増したプラットフォームを有している。他社との連携は「MCC(マルチクラウドコネクト)」と呼ばれるNTTコミュニケーションズ独自のサービスであり、他社のクラウドサービスとの閉域網接続を提供し、セキュアなネットワークで接続されたマルチクラウド環境を実現するというものだ。
「『ECL2.0』は、新しいバージョンであるため導入実績がほとんどなく、社内的に誰に承認を取るか等のフローがまだ未整備でした。『MCC』にしてもつなぐ技術はあるものの、いかに適切にオーダー処理するかなど、私にとっては誰も歩いたことのない道を切り拓いていくような作業でした」(大谷) 
厳しい環境ではあったものの、大谷らの奮闘が奏功してハードルを乗り越え、クラウド環境はスケジュール通り、5月に整備されたのである。

若いメンバーのパワーが躍動。
やり遂げる想いと使命感が
プロジェクトを前進させる力。

クラウド環境の整備完了を受けて、入社3年目の寺脇綾菜がプロジェクトに加わった。そのミッションは、通信キャリアのNTTへの移行を円滑かつ速やかに実行することだった。
「実際の移行は、お客さまの各拠点において9月以降に順次進められる計画でしたが、回線移行工事に着手する、約2ヶ月前から、お客さまのスケジュールと実際に工事を行う協力会社を調整する必要がありました。移行実施に向けた事前調整が私の役割でした」(寺脇)
まだ入社3年目ながら、寺脇の業務は現場のマネジメントであり、通信キャリア移行に向けたコントロールタワー的役割を担っていた。若い人にも大胆に権限と裁量を与えて仕事を任せる、NTTコム ソリューションズの風土が反映されたアサインでもあった。

9月に入ってメンバーの一員としてプロジェクトに参画したのが、入社6年目の石井茜である。石井は入社以来、NTTコミュニケーションズのクラウドサービスに関わってきた。同社のクラウドサービスの立ち上げの時期から、提案やサポート業務を経験してきている。今回のプロジェクトで石井は、いわば、クラウド環境の新たなネットワークを最終的に完成させる役割を担っていた。
「新しいネットワークにインターネットの出口を作る必要がありました。それによって、移行された通信キャリアを通じ、新たな、クラウドのデータネットワークが完成します。しかし、単につなげればいいというものではなく、サーバ、ストレージ等を設置しセキュリティを確保しつつ、クラウドに見合ったネットワークを構築する必要がありました」(石井)
石井の担った部分は、全体のネットワーク構成の中で肝となるものであり、プロジェクト最後のハイライトとなるものだった。2016年12月末のリリースに向けて、作業は急ピッチで進められた。だが、時間はない。果たして間に合うのか、PMの安西も担当課長の加藤も、その進捗状況を、固唾を呑んで見守っていた。

安堵感、達成感、喜びがあった。
成長の実感と共に、
次代のネットワーク創造に向かう。

2016年12月24日、クラウド環境下における新たなネットワークが開通。振り返ってみれば、すべてオンスケジュールであり、一片の曇りもない大成功といえる完結を見た。その日、PMの安西の心に押し寄せたのは圧倒的な安堵感だったと言う。
「緊張感がずっと続いていましたから、そこから解放された気持ちが大きかったですね。実際の現場は大谷たちメンバーに任せ、私はお客さまの理解・納得に力を注ぐ活動をしていました。それがプロジェクトを円滑に進めるカギでしたから。常に思っていたのが、いかにお客さまの期待を超えていくかということ。そのためにはロジカルな思考、エビデンスが重要でした。このプロジェクトで鍛えられた、成長したという実感がありますね」。
大谷の場合、まだプロジェクトは進行中だ。リリース以降もクラウドに関わるお客さまのニーズに対応していく必要があるからだ。
「プロジェクトリーダーとして、やり遂げた達成感はあります。改めて思うのが、人のマネジメントの重要性。加えて、高いレベルで技術、知識を有している必要があります。安西さんはそれを実践したPMであり、安西さんを超えるPMを目指したいと思っています」。
寺脇は、9月には別のプロジェクトに異動となりリリースには立ち会っていないが、新たな現場でプロジェクトリーダーにアサインされた。このプロジェクトでの活躍が評価されたカタチだ。最後のインターネット接続を見事にやり遂げた石井は、リリースの瞬間、嬉しさが込み上げたと言う。
「SI、つまりシステムをイングレーションしたのは初めての経験でした。モノが出来上がった手応えが嬉しかったですね。今後、ネットワークの知見を深めていく中で、複合的なソリューションを提供できるPMになるのが目標です」。

今回のプロジェクトは、NTTコム ソリューションズが、“クラウド”という先進的ネットワークに、本格参入したことを内外に高々と宣言するものとなった。その原動力が若手の力だったことは言うまでもない。それは、単にネットワークの構築に留まらない、時代と並走する高付加価値提供の実践だった。次世代ネットワークの姿を射程に入れて、NTTコム ソリューションズの進化は加速する――。